【クルマ記事Refrain2019】軽トラで運転テクニックをみがく
(ダイハツのHPより)
皆さんのご実家などではひょっとして軽トラックをお持ちではありませんでしょうか。もしもあるならばこのGWに帰省した際に(もう遅い?)是非とも乗りまわしてもらいたいです。
理由はこれまでの車のRefrain記事で良い車の条件についていくつか述べてきましたが、軽トラはこれらを含めた車の基本性能の良し悪しを体感できる絶好のアイテムだからなのです。(いやもっと大きなトラックを持っているよという方もいるかもしれませんが、軽トラの方が小さくて軽いので何かと試すのには安全です。為念。)
この軽トラですが、後ろに荷物を載せて運ぶために設計された作業用車ということでとても運転しづらい車です。それは以下の理由からでありただ漫然と運転したのでは速く走ることも、安全に走ることもできません。
1. エンジンは大抵非力です。マニュアルトランスミッションでエンジン回転をしっかりとあげてやらないとスピードが出ません。
2.後方視界が悪く、運転席からみて後方確認に気をつかいます。でも一方で運転席はおもいっきり前、前輪軸のほぼ直上に配置されていますので車が旋回する感覚がよく掴めます。メリーゴーランドの乗っているかのように遠心力を感じ取れます。
3.フロントヘビーなので、前後の重量バランスが悪く、コーナリングでアンダーステアがすごく出やすいです。その他にもフロントオーバーハングの影響がいろいろとわかります。
4.車体のサイズの割には重心が高いので、コーナリングで車体が傾きやすく、不安定になりやすいです。
5.大抵、履いているタイヤは細くグリップが弱いため、コーナリングではアンダーステアが大きいことはもちろん、トラクションがしっかりとかからないこともしばしばです。
6.ブレーキがあまり効かない上に、しかもペダルストロークが長いケースが多いため、散漫とブレーキかけていると前の車に追突しかねません。
▼これらの特徴は路面が滑りやすくなる雨の日に運転するともっとわかりやすくなります。
▼後ろの荷台に何か重量物を乗せている状態ですと、空荷の時よりも上記の特徴に拍車がかかります。
▼載せている重量物の重さ、大きさ、位置の違いによっても車の状態は様々に変わってきます。
以上、軽トラの代表的な特徴をあげてみましたが、これほど運転がしづらいこの軽トラという車は、一方で実は自動車の運転テクニックを磨くのには最適な教習車なのです。
それどころか自動車運転好きにとっては軽トラを速く乗りこなせるようになると、それは結構な快感を得られるケースも多いと思います。
1.エンジンは大抵非力>>マニュアルトランスミッションをスムーズに操作して、ただエンジン回転を引っ張りあげるだけでなく、トルクバンドを意識したギアの選択を考えて走る必要があります。またダブルコーンシンクロ(回転数の異なるギアとギアを滑らかにつなぐ機構)などついているわけもありませんので、エンジンとギアの回転差も意識して運転しないとギクシャクな加減速になります。
2.後方視界が悪い>>フロントエンドは運転席すぐそばなので、左右両角を把握しやすいことに加えて、車両の後方感覚を研ぎ澄ますことで車両全体のサイズ感覚をしっかりと把握する練習になります。
3.フロントヘビー、重心が高い、履いているタイヤはグリップが弱い、ブレーキがあまり効かない>>ローリング、ヨーイング、ピッチングが起きやすいので、どうしたらこれらをおさえた運転ができるようになるか考えさせられます。また制動距離を十分に考え、カックンブレーキにならないような注意力が働きます。
以上、非力なエンジンの使い方に始まり、車両感覚把握の向上、フロントヘビー・高い重心・プアなタイヤやブレーキなどから自動車の原始的な挙動を理解するなど、自動車の運転力向上にはとてもよい教習車となります。
そこで軽トラの特徴を理解して、それをコントロールしたうえで、安全に速く運転を乗りこなせるようになると、今度は、以下のメリットが光ってきます。
★車重の軽さからくる軽快感、フットワークの軽さ、ひらりひらり感を感じます。
★エンジンの力を使い切る(その車の性能を使い切る)充実感を味わえます。
★ボディの四隅がはっきりわかるので、ギリギリまでのラインどりができます。
★大抵はFRなので、FRを操る楽しみを「一応」体感できます。
軽トラという走る・曲がる・止まる性能がプアでかつ車の挙動がわかりやすい乗り物を乗りこなせるようになることで、通常の自家用車や場合によっては高性能車を速く安全に運転できる技量の習得の第一歩につながります。
冒頭の提案したとおり実家に軽トラがあったらしめたもの。ガンガンのって車という乗り物がどういう挙動をするのか、車との対話を重ねてみてください。
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いつも楽しく読ませていただいております。
文中に「デフロック」とありますが、軽トラでよく言うデフロックとはぬかるみ脱出用デフ直結の意味だと認識しています。とすると、デフロックがついていないモデル=普通のデフの意味になり、文意が通らなくなります。「デフロックがついているモデルでONにすると曲がりづらく内外周差がタイトコーナーでわかる」ということを言いたいのではないかと思いコメントさせていただきました。
投稿: | 2019年5月 3日 (金) 12時00分
(名無し)さん
コメントありがとうございます。
またいつもご高覧ありがとうございます。
ご指摘のとおりです。デフロックONでのコーナリングというのは限定された走り方なので、省きました。
投稿: WATANKO | 2019年5月 3日 (金) 21時52分