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2018年10月29日 (月)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)-これから買う人、手を上げてください

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(うーん、商品の良さは認めるけれど...)

先日、発表と同時に個人投資家の間で話題となったeMAXIS Slim全世界株式(オール・)カントリー)(以下、Slimオール・カントリー)がいよいよ10月31日に設定されます。

周回おくれ感が満載ですが、今回はこの投信についてどう見るかについて取り上げます。

■コスト面からみて

この商品はMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)と連動することを目指します。

これまで「日本抜き」は他にもありましたが、ACWIに連動する商品はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが全世界株式インデックス・ファンド昨年9月に設定して以来です。

全世界株式インデックスファンドは信託報酬が0.48%(税抜、以降同じ)と、昨今のインデックス投信の信託報酬のレベルと比べれば高めであります。そのせいか設定から1年たった2018年9月末でも純資産は733百万円と低迷しています。

それに対して今回のSlimオール・カントリーは信託報酬0.142%という低コストで設定されます。

これも三菱UFJ国際投信の経営努力と本気度のなせるわざなのか、それともステート・ストリートの旧態依然としたコスト感覚と値付けなのか。…おそらく両方でしょう。

なおSlimオール・カントリーの日本のベンチマークはMSCI・ジャパン・インデックス(配当込み)をベンチマークとするマザーファンドが設定されるため、この部分のコスト高を心配する向きもあります。

しかしながら日本が占める割合は1割にも満たないこと、そしてそれ以外の先進国と新興国を対象としたeMAXIS全世界株式インデックスでは信託報酬と実質コストの乖離が小さいことからして、日本部分が仮にコストが高くても影響は限定的であり、商品トータルとしてみれば信託報酬と実質コストの乖離はそれほど開かないのではないかと予想します。

参照記事

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
【全世界株式】低コストインデックスファンド徹底比較 2018年9月末

むしろ、このSlimオール・カントリーを本当に評価し、資産形成のビークルとして活用すべきと判断したら、積み立て購入商品をこちらに直ちに切り替えてもおかしくはありません。

■購入・保有商品のモメンタムを変えるのは難しい

このSlimオール・カントリーのターゲットはずばり楽天・全世界株式インデックス・ファンド(以下、楽天VT)であり、こちらからの乗り換えをターゲットにしていると思われます。

しかしながらいまから追撃を開始して、楽天VTにどれだけ追い付くことができるのか。道のりは決して簡単ではありません。

既に楽天VTを積み立て投資している個人投資家ならば、楽天VTこそ長期で積み立て投資をするにベストな商品であると信じて、これまでずっと買い続けてきたわけです。

個人投資家のそのような連続してきた商品購入と保有のモメンタム(勢い)を止めて、切り替えさせるだけの価値が果たしてSlimオール・カントリーにあるのか。

なお不幸なシナリオとしては、eMAXIS Slimの他の個別アセットクラスの商品またはバランスファンドを積み立て購入している個人投資家が、Slimオール・カントリーに乗り換えることです。これではまさにタコ足の商品乗り換えになってしまいます。


■まとめ

三菱UFJ国際投信は、このSlimオール・カントリーでもって、少なくとも他社の商品を購入・保有している個人投資家のアセットアロケーションのうち、株式部分を根こそぎゲットしたいと考えていてもおかしくはありません。もしも個人投資家が株式アセットのみをリスク資産としている場合ならば総取りということになります。

これだけの低コストならば、これから新規にインデックス投資を始める人たちにとっては大いに有力な候補となり得るでしょう。

それでは既存の個人投資家はどうでるか。

現在見える状況下では楽天VTよりも、Slimオール・カントリーの方がおそらく低コストである可能性が高いとWATANKOはふんでいますが、もしその通りになったとしても保有分、積み立て投資分含めてSlimオール・カントリーへの乗り換えがどれだけ進むのか。

今後に要注目であります。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)をこれから買う人、いたら手を上げてください。

評論だけでなく手金でもって本当に買う人、いたら手を上げて下さい。

2018年8月 5日 (日)

低コストなインデックス投信は資金を集める手綱をゆるめてはいけない

証券会社のリテール(個人営業)部門の収益が芳しくないそうです。2018年4~6月期決算では、株式相場の膠着で個別株の売買が細ったうえに、各社が力を入れてきた投信からの収入減が目立ったとのことです。

参照記事

2018/8/1日本経済新聞
証券、柱の個人部門失速 4~6月、販売手数料が急減

(閲覧には会員登録が必要です。)

投信からの収入減については金融庁が訴える「顧客本位の営業」を背景に毎月分配型や新規設定のテーマ型といった、かつてドル箱だったタイプの投信の販売が落ちたことに加えて、商品数を絞った長期保有を顧客に勧めた結果、売買頻度は低下し、販売手数料が減ってきたとのことです。

そして注目すべきは、販売手数料は無料、信託報酬は低い低コストのインデックス運用が個人投資家に広がりつつあると指摘されています。預かり残高は同じでも、投信を買い替えるタイミングで低コスト商品に乗り換える個人が増え、手数料全体を押し下げている模様です。

記事を読むと運用会社がお気の毒に見えてきますが、国内には自動車やPC等が売れないゆえに販売報奨金を積まなければならないメーカーなんてたくさんあります。金融機関も他業種並みの競争環境にようやく近づいてきたというのは言い過ぎでしょうか。

■マージンでみた先進国株式インデックスファンド

さて上記記事からインスパイアされた話題をひとつ。

WATANKOが集計して、先進国株式インデックスファンドの純資産ならびに資金流入の現況を先日ブログでUPしました。

関連記事

先進国株式インデックスファンドのシェア@2018(2018/7/22)

そこでの集計をもとに各商品が実際にはどれくらいのマージン(信託報酬「額」)を得ているのか、純資産×信託報酬率で算出し、それをランキングしてみました。

(金額単位は億円)

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これを見ると、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)純資産がダントツトップなるも、信託報酬がとても低いため、マージンではランキング4位に低下しています。

代わりにトップ3をしめたのは、長年の販売で純資産が積み上がる一方、相対的にはそこそこ高い信託報酬率のままでいるSMTグローバル株式インデックス・オープン(以下、SMT)、eMAXIS 先進国株式インデックス、ステート・ストリート外国株式インデックス・オープンです。

さらにニッセイに続いては、インデックスファンド海外株式(ヘッジなし) 、外国株式インデックスe、野村インデックスファンド・外国株式といった商品が並んでいます。

これらニッセイを除く商品のほとんどには、資金流入はニッセイには遠く及ばないものの、数千万円程度から2~3億円といった水準が継続しています。そのためこのままでいってもまずまずのマージンが期待できると読めます。

典型例としては、インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)、いわゆる旧年金積立は純資産はニッセイの1割強なのに、信託報酬が相対的に高いので9割近いマージンを得ています。資金流入も1月~6月平均で月あたり29百万円あります。ろくな販促もやっていないとすれば、これはおいしいなあとWATANKOには思えます。

一方でニッセイのマージンは104百万円であり、SMTの約3分の1に過ぎません。SMTを超えるためには、ニッセイは現在の純資産の3倍の残高が必要になります。今のニッセイの資金流入の勢いでいけば5~6年で到達できそうですが、SMTもまた純資産を伸ばしていくので、追いつくのは容易ではないでしょう。

ニッセイが名実ともに先進国株式インデックスファンドのチャンピオンの座につくのはいつになるか。

■低コストなインデックス投信は資金を集める手綱をゆるめてはいけない

ニッセイのマージン104百万円のうち、運用会社の取り分(信託報酬0.109%のうち0.04425%)は42百万円です。こう見ると1,000億円近い残高のわりには少ないとみるか、いやいや手数料の料率だからこんなものだとみるか。

個人ひとりひとりにとっては、それぞれ携わっているビジネスを背景として、その受け止め方は様々でありましょう。

その中にあってWATANKOは、金融商品は労働集約型サービスではなく、システムオペレーションでサービスを提供する性質であるため、現在の低コスト商品の水準は妥当であると考えます。

関連記事

【補稿】あなたのコスト、いまいくら?-信託報酬の引き下げを求めるココロ(2018/3/21)

ともかくも運用会社各社は、インデックス投信については信託報酬が0.2%前後にまで引き下がった現状では、ひたすら資金を集めるしかありません。

そのためには信託報酬は最安値水準とすることを必須として、実質コストを引き下げること、トラッキングエラーを最小限にすること、プロモーションと組み合わせて販路をひろげること、パブリック記事を広めて認知度をあげることetc・・・。

ニッセイほか運用会社各社は、これらに取り組んでいき、総合評価として選ばれるインデックス投信を目指すほかありません。

マージン減を嘆く前にやるべきことをやっていただきたいです。

2018年7月29日 (日)

(続)新興国株式インデックスファンドのシェア@2018

前回、新興国株式アセットクラスのインデックスファンドの純資産ならびに資金流入におけるランキングとシェアを調べてみました。

その続きとして次に信託報酬と資金流入の関係を見てみます。

■商品の分布図

信託報酬と資金流出入額の2軸の中に各商品をプロットした分布図を作成してみました。

Notes)
横軸は信託報酬(税抜)、縦軸は資金流出入額の直近6か月(2018年1月~6月)の平均月次額です。

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分布図をみると、Slimの圧勝が一目でわかります。一人勝ちの様相です。

他にもなかなかローコストな商品が揃っていますが、一番低い信託報酬であるSlim以外はほとんど全くと言ってよいほど資金が集まっていません。<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)も然りであり、Slimと同じ信託報酬ながら資金流入については低迷しています。

この原因はニッセイは商品設定が遅かったためと推察します。外国株式(先進国株式)が注目を浴び始めた頃に、遅滞なく設定していれば、Slimが出てくる前までに純資産の積み上がりと個人投資家の支持が定着したのではないでしょうか。

実際にはSlimが2017年7月に設定されて3か月が経った同年10月になってようやくニッセイが設定されました。

しかしニッセイが設定された時点で既にSlimに信託報酬を追随される状態となっており、Slimに対してコスト面で最初から同レベルの争いとなっていたので伸び悩んだのでしょう。

関連記事

<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンドが登場するも戦いは厳しい(2017/9/28)


■信託報酬

24商品の信託報酬の単純平均は0.418%となり、これは前日集計した先進国株式の0.469%をも下回る水準です。いかにローコストな新興国株式の商品が新規設定されてきているかがうかがえる傾向です。

それにつけても繰り返しますが、平均を上回る高い信託報酬の旧年金積立に、何故あれほど資金が集まるのか・・・。

■まとめ

さて新興国株式インデックスファンドのこれから先の勢力図はどう変わっていくでしょうか。

WATANKOの予想ですが、先進国株式においてはニッセイとSlimの競争が続いていますが、それと異なり新興国株式ではSlimの圧勝がずっと続くのではないかと考えます。ニッセイも楽天も白旗ではないでしょうか。

どんなアセットクラスであっても個人投資家が信託報酬最安値追随型のSlimシリーズに一度乗り換えてしまったら、コスト面からみて他商品を選ぶ理由はもう無くなります。

他社にできることといえば、もはや恥も外聞も捨ててSlimシリーズと同じ戦略を採るか。しかしながら仮にそれが実現したとしても不十分であり、併せて相当なプロモーションを打たないと待ったく太刀打ちできないでしょう。

あるいは全く別の切り口での商品展開を進めるか。楽天はバンガードを担いで真っ向からぶつからない商品展開を行いました。

各運用会社のインデックスファンドに関する2018年のマーケティングはもうお終いでしょうか。秋以降の動きに注目したいと思います。

(あとがきにかえて)

妻ミサト「そりゃあ、ここで終わると来月以降、ブログ記事のネタに困るわよね。」

WATANKO「!!!」

2018年7月28日 (土)

新興国株式インデックスファンドのシェア@2018

前々回、前回と先進国株式クラスの純資産ならびに資金流入について集計した結果を記事にしました。

そうなると他のアセットクラスはどうなのかという関心も湧いてきます。そこで今回新たに新興国株式クラスについて、先進国株式と同様の集計をしてみました。

<集計条件>

1)データソースは投信まとなび。データは2018年7月27日時点
2)対象は新興国株式インデックスに連動するインデックファンド
3)DC専用、ラップ口座用、為替ヘッジありは対象外とする。

上記の条件に適合するファンドを合計24本を抽出して比較しました。
(金額単位は億円。以降同じ。)

■純資産

まず純資産のランキングとシェアは次の通りです。

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トップ3はeMAXIS 新興国株式インデックス(以下、eMAXIS)、SMT 新興国株式インデックス・オープン(以下、SMT)、インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式、いわゆる旧年金積立シリーズがそれぞれつきました。

2008年から2009年にかけて設定された新興国株式インデックス投信の先駆者達であり、この3商品で全体の6割のシェアを占めています。

さらに4位以下につけているのは信託報酬が0.1%~0.3%台のローコストな商品群がならんでいます。

なお24本の中には直近3年間に新規設定された商品が13本と過半であります。ここ数年は新興国株式クラスの成績は振るわない中にあって、結構な数の新商品が設定されています。

つみたてNISA等への対応として、運用会社がローコストなインデックスファンドを新規設定する動きがここでもよくわかります。

■資金流入

次に資金流入のランキングとシェアであります。

先進国株式の記事でも述べましたが、純資産は設定期間が長い商品が多額になりやすいし、市場の基準価額の変動も加味されますので、本当に今人気があるファンドを把握するには資金流入を見るべきであります。

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さてここでのトップはeMAXIS Slim 新興国株式インデックス(以下、Slim)です。2位以下を大きく引き離して断トツです。

2017年12月に新登場した競合商品にあわせて信託報酬を大きく引き下げたことが起爆剤となったようです。

関連記事

eMAXIS Slim新興国株式が公言どおり、そして期待を裏切らない信託報酬の引き下げを実施(2017/11/23)

Slimに続くのはiシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETFです。2017年9月に設定されてからまだ1年と経っていません。この資金流入の水準が今後も続くのか。

そして3位につけたのは、なんと旧年金積立です。信託報酬0.55%はもはや相対的には安いとは呼べない水準ですが、この資金流入にWATANKOはちょっと驚きました。

WATANKOが旧年金積立を購入している個人投資家に出会う機会があったら、もっと遥かにローコストな商品がゴロゴロあることを教えたい気持ちです。(余計なお世話?)

4位以下には、たわらノーロード新興国株式、EXE-i 新興国株式ファンド、つみたて新興国株式と信託報酬0.2~0.3%台のローコストな商品が続いています。

あとひとつだけ指摘するとすれば、eMAXIS新興国株式の資金流出です。先進国株式と同様に新興国株式でもeMAXISは資金を減らしている格好です。その分を十分に補えるほどにSlimの資金流入が大きいのですが、eMAXISの資金流出を見ると、この商品の命脈はもはや尽きたかのうように思えます。

(つづく)


妻ミサト「新商品が増えたって書いてあるけど、単純に先進国株式の新商品が増えたから、新興国株式もついでにラインナップされているだけじゃあない?」

WATANKO「なかなかに鋭いご指摘です。」

妻ミサト「だてにこの駄ブログを長年忍耐強く読んでいないわ。」

WATANKO「ありがたや、ありがたや」

2018年7月23日 (月)

(続)先進国株式インデックスファンドのシェア@2018

(前回からの続きです。)

前回、先進国株式アセットクラスのインデックスファンドの純資産ならびに資金流入におけるシェアを調べてみました。

その続きとして次に信託報酬と資金流入の関係を見てみます。


■商品の分布図

信託報酬と資金流出入の2軸の中に各商品をプロットした分布図を作成してみました。

Notes)
横軸は信託報酬(税抜)、縦軸は資金流出入の直近6か月(2018年1月~6月)の平均月次額です。

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分布図をみると、旧年金積立、旧中央三井などリーマンショック前から設定されている古豪の商品、SMTやeMAXISなどかつてローコスト投信と呼ばれていた商品、そして今のローコスト商品の3つのグループに分けられます。

これをみると32本も商品があっても人気があるのは前回の指摘と同様にニッセイ、Slim、あとはせいぜいたわらくらいです。あとの野村インデックスファンド・外国株式(Funds-i)、SMT、SS外国株式、EXE-i などは残っている既存顧客が買い続けてくれてなんとか命脈を保っています。それ以外のものは投資先のマザーファンドから見ればないよりはマシといった存在にすぎないかもしれません。

2年おきに比較を続けていますが、だんだんと優勝劣敗がはっきりしてくる傾向が強まっている印象です。

■信託報酬

さていまどきの先進国株式インデックスファンドのコスト水準を測るべく、32本の商品の信託報酬の単純平均を算定すると0.469%となりました。

これは2014年の0.591%、2016の0.568%から引き下がってきています。

原因としては信託報酬0.2%以下の商品が32本中12本もあり、これらが全体の平均を引き下げているためでありましょう。

■まとめ

先進国株式インデックスファンドのこれから先の勢力図はどう変わっていくでしょうか。

WATANKOの勝手な予想ですが、今後、よほどの新商品が出てこない限りニッセイ、Slim、そしてたわら以外は資金流入の面では廃れていきそうな予感がします。

さらにはニッセイやSlimにとって当面資金流入を争う相手は、他の先進国株式インデックスファンドではなくて、米国株式インデックスファンドかもしれません。

参考までに、楽天・全米株式インデックス・ファンドのデータは以下のとおりです。

純資産  154.8億円
資金流入   16.66億円

2017年8月設定から1年たらずでこの数字です。結構積み上がっています。
ニッセイやSlimはこれとも競っていかねばなりません。

次回2020年、オリンピックの年はどんな一体どんな様相でしょうか。

2018年7月22日 (日)

先進国株式インデックスファンドのシェア@2018

個人投資家は、皆それぞれが自分が信じる投資手法、有用など判断した商品を選べばよいものですが、一方で他の個人投資家は何を買っているのか、現在の売れ筋商品は何であるかが気になるのもまた正直なところです。

そこでインデックス投信について純資産と資金流入の2つの観点から商品別シェアを調べてみました。

取り上げるアセットクラスは個人投資家が国際分散投資を志向する場合、大抵においてアセットアロケーションに組み入れていると思われれる先進国株式とします。

なお、この比較は過去2010年、2014年、2016年と行ってきています。

関連記事

先進国株式インデックスファンドのシェア(2010/9/23)

先進国株式インデックスファンドのシェア@2014(2014/7/26)

先進国株式インデックスファンドのシェア@2016(2016/7/23)


さて特に2年前の2016年と比較すると現在のシェアははたしてどうなっているでしょうか。

<集計条件>

1)データソースは投信まとなび。データは2018年7月20日時点
2)先進国株式インデックスに連動するインデックファンド(インデックスは一部を除きMSCI-KOKUSAIが対象となっている。)
3)DC専用、ラップ口座用、為替ヘッジありは対象外とする。

上記の条件に適合するファンドを合計32本を抽出して比較しました。前回集計もれしていた投信も一部あり、該当商品の過去金額は「未確認」と表示しています。(金額単位は億円。以降同じ。)

■純資産

まず純資産のシェアです。32本のランキングとシェアは次の通りです。

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トップは<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)です。32本合計に占めるシェアは25%と圧倒的であります。純資産は1,000億円は目前どころか、このペースでいけば3年後には2,000億円にも達する勢いです。

第2位、第3位にはお馴染みのSMT グローバル株式インデックス・オープン(以下、SMT)、eMAXIS 先進国株式インデックス(以下、eMAXIS)が並んでいます、

SMTは2014年、2016年と純資産がトップでしたが、今回からニッセイに取って代られました。後ほど明示しますがニッセイはSMTの10倍以上の資金流入が毎月ありますので、前回2016年以降、順位の逆転は時間の問題でありました。

第4位はたわらノーロード先進国株式(以下、たわら)です。2016年からの伸び率はなかなかに高いですが、いかんせんニッセイの圧勝感の前にはWATANKOには霞んで見えてしまいます。

しかしながら第3位のeMAXISとの資金収入の差は8億もあるので、この調子で行けばたわらがeMAXISを超える日はそう遠くないでしょう。

第5位以降は昔からお馴染みの商品ばかりです。設定期間が長い分、純資産の額で見るとステート・ストリート外国株式インデックス・オープン(以下、SS外国株式)、外国株式インデックスeあたりもまだ存在感があります。

しかしながらニッセイは2014年から2018年の4年間で純資産を29倍近くに伸ばしてきたに対して、このあたりの商品はせいぜい1.5倍どまりです。基準価額の伸びを差し引くと、純資産の拡大はすっかり止まっています。

そうそう、ステート・ストリートはSS外国株式の他に楽天証券のみ向けに同種商品のローコスト版をちゃっかり設定していたことが今回わかりました。

それと集計してみた結果、前回以降に新規設定されたファンドが8本もありました。その多くは信託報酬が0.2%近傍でありローコストですが、これからどこまで純資産を伸ばせるでしょうか。

■資金流入

次に資金流入のランキングとシェアであります。

純資産は設定期間が長い商品が多額になりやすいですし、市場の基準価額の変動も加味されますので、本当に今人気があるファンドを把握するには資金流入を見るべきであります。

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さてここでもトップはニッセイです。しかしながら圧勝というわけでもなく前々回記事で紹介した通りeMAXIS Slim 先進国株式インデックス(以下、Slim)がヒタヒタとついてきています。

ニッセイとSlimは信託報酬の低さという点ではトップ2として並んでおり、今後の資金流入のトップ争いが要注目であります。

後に続くのは、たわらからEXE-i 先進国株式ファンド(以下、EXE-i)までの9本の商品が毎月平均で1億円を超える資金流入があります。

しかしそれら以外、全体の3分の2近くにあたる商品については、わずか数千万円の水準、最下位からの6商品に至っては資金が流出しています。

なかでも目立つのはemaxisが前回2016年から8億も悪化しているところです。WATANKOからみると1人負けの様相です。その分、Slimへ資金流入しているとの見方もできますが、もしもSlimがなかったらと思うと、三菱UFJ国際投信の担当者も冷や汗ではないでしょうか。

しかしあらためてじっくりとシェアを見てみますと、ニッセイなど売れている商品には資金がガバチョと集まる一方で、売れていない商品は徹底して売れていません。

かつてWATANKOもたくさん買い込んだ外国株式インデックスeも昔日の面影はなく、いまは資金流出の状態にあります。

住友三井トラストアセットマネジメント御中、i-SMT グローバル株式インデックス(ノーロード)を後から設定するくらいなら、外国株式インデックスeの信託報酬を0.2%に下げてくれればこの上なく嬉しかったです。

(つづく)

2018年7月17日 (火)

ニッセイ、信託報酬最安値の座 2018

投信のローコスト競争は現在、ニッセイアセットマネジメント(以下、ニッセイ)と三菱UFJ国際投信(以下、三菱)のガチバトル、そこに商品ラインナップではやや異なりますが楽天投信投資顧問が絡んだ3社にてチャンピオンの座を争っております。

競争の中核はニッセイの<購入・換金手数料なし>シリーズと三菱のeMAXIS Slimシリーズ、中でも先進国株式インデックス連動の商品を対象として信託報酬引き下げの競争が続いています。ニッセイがクラス最安値へ信託報酬を引き下げれば、三菱がすかさず同率1位となるようにeMAXIS Slimシリーズの信託報酬を引き下げてきます。

ニッセイは先行者、三菱は追随者の立場にありますが、昨年末、ここに第三者が割り込む形にでSBIアセットマネジメントがEXE-i つみたて 先進国株式ファンドをクラス最安値の信託報酬(0.1095%、税抜、以降同じ)で設定すると、三菱はこれに追随してeMAXIS Slimの信託報酬を同率まで引き下げました。

さてこの三菱の動きをみて、ニッセイは<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬を引き下げるのか。半年余りの沈黙を破ってニッセイは6月末にニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、外国株式)の信託報酬を0.109%に引き下げると発表し、またまた単独最安値を更新しました。

そしてほどなく三菱もまたSlimシリーズの設定時の方針に従ってeMAXIS Slim先進国株式インデックス(以下、Slim)の信託報酬を同率まで信託報酬を引き下げて現在に至っております。

■ニッセイは先進国株式アセットでは絶対に負けられない

<購入・換金手数料なし>のうち、外国株式は純資産が957億円(2018年6月現在、以降同じ)に達し、古豪であるSMTグローバル株式インデックス(675億円)をとうに上回って、ローコストなインデックス投信で断トツのチャンピオンであります。毎月30億円もの資金流入があり、個人投資家からいかに厚く支持されているかが窺える純資産の伸びであります。

しかしながら<購入・換金手数料なし>シリーズ全体の純資産は、12商品合計で1.330億円にとどまり、このうち外国株式が957億円と7割強を占めています。このシリーズは商品ラインナップの多くで信託報酬が最安値となっていますが、その純資産は外国株式の次がTOPIXで180億円、先進国債券が93億円となっており、信託報酬が安い割には伸びてはいません。

つまりはニッセイにおいては<購入・換金手数料なし>シリーズのうち、外国株式こそが個人投家の支持と収益の中心であります。外国株式がひとえにシリーズ全体の純資産の伸長の牽引役となっているというエビデンスがあるからこそ、三菱が追随するとわかりつつも信託報酬最安値の座をゆずるわけにはいきません。

■晩秋まで待てなかったニッセイ

ニッセイは毎年11月に<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬を引き下げてきました。それはあたかも同年のFund of the yearのトップ獲りを狙ったタイミングかのように思えます。

その真否はともかく、今年は例年の傾向に反してはや6月に信託報酬を引き下げてきました。

ニッセイのこの早い決断は、個人投資家にとってはありがたいですが、その背景を推察するに、外国株式とSlimの資金流入の推移が影響しているかもしれません。

直近1年の外国株式とSlimの月次の資金流入を比較してみます。

Notes)金額単位は億円です。

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2017年12月までは外国株式には毎月30億円の資金流入がありましたが、2018年に入ってからは、資金流入が2割から3割目減りしてきています。

一方のSlimは12月に前述のとおり、EXE-i つみたて 先進国株式ファンドにあわせて信託報酬を引き下げ、その結果、外国株式を下回ったことによる影響からか、資金流入が2017年の水準から一気に4倍前後にまで急激に伸びています。

外国株式の目減りと同時期におきたSlimの急激な伸び。

WATANKOがもしニッセイの担当であれば、この2つを結び付けて危機感をもったことでしょう。

<購入・換金手数料なし>シリーズの唯一にして大黒柱である外国株式。その背後にはSlimがヒタヒタと迫ってきたわけです。潮目が変わってきたのかもしれないと捉えてもおかしくはありません。

かくしてニッセイは、晩秋の定期引き下げ時期まで待ってはおれず半年近く前倒しで信託報酬の引き下げを実行した・・・。そんな風にWATNKOは読み取れました。

■まとめ

三菱とのローコスト競争に勝つために、ニッセイは今年、例年よりも早く信託報酬を引き下げできました。WATANKOは、ニッセイのこの判断は正しいと考えます。ともかくも薄利で商売を続ける以上、多額の資金流入を維持することが必須の要件だからです。

今回の信託報酬の引き下げにあたって、ニッセイにおける販売会社との交渉はいままで同様に大変であったかと推察しますが、その際の最大の説得材料が「引き下げによって高い資金流入が今後の見込まれる」ことであったでしょう。

ニッセイの外国株式は、純資産がもうすぐ1,000億円にと届こうかという水準です。一方のSlimはまだ100億円半ばの水準です。

信託報酬は同率、純資産の差は800億円もある。三菱は信託報酬で単独最安値を目指すわけではない。

これらを総合すると、今はまだニッセイの天下といっても良いでしょう。

関連記事

ニッセイ、信託報酬最安値の座 2015(2015/11/14)

ニッセイ、信託報酬最安値の座 2016(2016/10/22)

ニッセイ、信託報酬最安値の座 2017(2017/10/7)


2018年6月23日 (土)

懐かしさと愚かさと心細さと- 久しぶりの毎月分配型投信記事を読んで

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「いつも(毎月分配は意義があると)感じているあなたへ向かって」
「(高いリスクとコストという)あやまちはおそれずに進むあなたを」
「涙は見せないで(心配で心細い気持ちとともに)みつめていたいよ」

以上、なつメロでした。

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あれ、日経が10年前の記事を間違えてまたUPしたのかなと思いつつ、読んでみると、それはまごうことなき2018年6月21日の新着記事でした。

もはや懐かしい部類に入るといえる「毎月分配金型投信の意義」を唱えている記事です。

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退職後は運用しつつ引き出す 「タコ足投信」悪くない

記事からポイントを抜き出すと以下です。

▼毎月分配型投信を「運用しながら資金を引き出す」機能がある金融商品として考えると、これはまさしく退職後の世代にとってはニーズに合った金融商品とも言えるのです。

▼毎月分配型投信にはもちろん課題もあります。分配金が資産残高の変動に合わせて増減するようにできていないことです。相場が下落して資産残高が減っている時に一定額の分配金を出し続けると、想定以上に元本が毀損するのです。

▼そこで金融資産からの引き出し額を、持っている資産に対する比率で考え、引き出し率を計算します。この比率を固定して、運用の結果に応じて引き出し額を決めていくのです。

▼必要な年間引き出し額が大きく変化してもいいように、分配金は十分に少ない額に固定し、その差額を資産から別に引き出すようにする。毎年の必要額を、分配型投信の分配金に追加して、元本から引き出すことを考えてみましょう。


と記事では毎月分配型投信を推奨していますが、退職後世代の資産取り崩しニーズには、毎月分配金型投信はマッチしていません。

退職後の世代には、それまで形成してきた資産を取り崩すステージに入るわけですが、長生きしても経済面で安心して過ごすことができるようになるためには、取崩しステージにおける残高減少のスピードを穏やかにする必要があります。そのために資産取り崩しステージにおいても資産運用を続けていくことが必要と記事は唱えています。

退職後に運用しながら取り崩すこと自体は、年齢的な限度を考慮すべきかと思いますがWATANKOも賛成です。その場合、定期預金などの元本保証型の金融商品では大した運用益にはなりませんから、リスク商品を大なり小なり用いることになるでしょう。

しかしながらそこで毎月分配投信が丁度よい商品かというと、次の3つの点でふさわしくありません。

■(理由1)毎月分配型投信の多くはアクティブ運用であり、中には退職後世代に不相応なリスクをとっている商品がある。

各々の個人投資家にとって、現役時代に最良と信じて採ってきた資産運用の方法があるならば、退職後もそれを続けていけばよいです。現役時代と異なることはそこに定期的な取崩しが加わるだけであります。

分配金型投信分配金の多寡ばかりに注目して、とっているリスクの大きさを注視していないとしたら危険です。保有資産の残高の減少スピードはかえって早まってしまうかもしれませんよ。

■(理由2)信託報酬他コストが高い。お金の払い出しにコストをかけていいのか。

信託報酬他コストが高く、これもまた保有資産残高の減少スピードを早めてしまう要素のひとつです。

わずかな手間を厭わなければ、毎月のお金を引き出すことは自分でできますし、ここに高いコストをかける意義は見出せません。

■(理由3)分配金の金額が十分な金額ではない場合、そのような中途半端なお金にもらうことに意義はない。

例えば本当に必要な資産の取崩し額は月100千円であるが、そのうち25千円を分配金でもらい、差引分は別途、引き出している。このプロセスの中で高い手数料を支払って25千円だけもらうことにどれだけの意義があるのでしょうか。

最初から100千円分を、都度リスク商品の保有残高から引き出せば十分ではないでしょうか。

■(まとめ)自分で取り崩せない人が、分配金という他人任せにすることの愚かさと心細さ
大事な退職後の資産を高いリスクに晒す。高いコストを負担する。でもそうして支払われる分配金は中途半端。

もしも個人が保有資産の残高減少を恐れるあまり、自分自身で取り崩しの金額とタイミングを決められない。だから「毎月分配金」という運用会社が決めてくれたタイミングと金額に任せきりにしているとしたならば、それで果たして良いのでしょうか。

投資は自己責任であり、資産の取崩しもまた同様です。上述のような人は、そもそも退職後のリスク商品を用いた資産運用自体に大変慎重になった方がよいかもしれません。

他人には任せられないものを、あたかも任してしまう。そのような人に対して、WATANKOは愚かしくも心配で心細い気持ちをぬぐえずにはいられません。

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投資先には不変なものなど何一つない-毎月分配金型投信を理解しよう(2014/5/27)

2018年4月20日 (金)

ファンドラップを選んだ個人投資家がやるべきこと(その4)リーズナブルな手数料体系とは

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(リーズナブルな手数料とは?)


(前回からのつづきです。)

前回記事では、ファンドラップで一任できる個人投資家には投資の知識が備わっており、それゆえに、逆に一任する必要がないというパラドクスがあることを指摘しました。

今回は最後にコストに戻ります。

■資産運用のリスクは個人投資家が丸かぶり

さて個人投資家は、自分の資産運用をファンドラップを用いて金融機関に一任するといっても最終的な責任は個人投資家自身が負います。

資産運用を一任された金融機関の運用担当者は目標達成に向けて頑張りますが、目標達成を保証することは決してありません。

資産運用のリスクは個人投資家が丸かぶりであるのに、一方で運用成果の如何にかかわらず、金融機関はしっかり利潤を伴う高い手数料を確実にいただきます。

この個人投資家と運用会社との関係をもしアンバランスと感じる方がいても不思議ではないでしょう。かくいうWATANKOもその1人です。

投資信託という資産運用のビークルを提供するだけならば、品質が同じという前提のもとにできるだけ低コストがよいことはいうまでもありません。

しかし資産運用のある結果を目指すサービスであれば、その達成度に応じて金融機関がもらう対価が変動してもおかしくはありません。

成果があがらないファンドラップであれば、契約解除をするという選択肢が個人投資家の側にはありますが、契約期間の縛りがあったり、契約解除後には時すでに遅しで資産が目減りしている状態となります。

■成功報酬型の手数料がリーズナブル

かといって世の中、タダ飯はどこにもありません。目標達成のために他人に動いてもらう以上は、メシ代アシ代は必要であります。

以上を考えると、ファンドラップの手数料は運用成績の如何にかかわらず支払う固定部分と、運用成果に応じて変動する変動分に分けられて構成されるべきではないでしょうか。

金融機関の働きによってより多くの利益が獲得できた場合にはより多くの手数料を支払う。成功報酬型の手数料体系をとり入れることは運用会社の側にとってインセンティブが働きます。

企業の収益の安定性という面ではそのような手数料体系は採用しにくいかもしれませんが、ファンドラップを検討する個人投資家に対してはリーズナブルに見えることでしょう。

■実際の手数料体系の特徴

そこで実際に各社の手数料体系を調べてみると以下の特徴があります。

1.手数料の料率は取り扱い金額によって段階的に設定されている。高額な部分ほど料率が下がる。3年、5年と長期保有をすると料率が引き下げられる。

⇒上記は多額を預けてくれる人、長期間預けてくれる人を優遇するというわけです。スケールメリットを還元する仕組みです。

2.安定運用から積極運用まで運用のスタイルによって料率が変わる。積極運用になるほど料率は高い。

⇒リターンの目標が高いので、それを目指すタイプには高い料率が設定されるというわけです。一方で成功報酬型ではないので、この設定はWATANKOには違和感があります

3.通常コースの他に、取り扱い額がより高額で手厚いコンサルティング(本当か?)をうけられるプレミアムコースや、料率が低いネットを用いたダイレクトコースといったバリエーションもあり。

⇒よりお金持ちな人、利便性を追求する人など色々な個人投資家のタイプに応じたサービスで顧客の裾野を広げています。

うーん、WATANKOがリーズナブルと考える成功報酬型の手数料体系を設定したファンドラップはないものかと調べてみると、SMBCファンドラップと三井住友信託ファンドラップが該当していました。

これらファンドラップでは「固定報酬のみの型」と「固定報酬と成功報酬の併用型」があり。成功報酬併用型については固定部分の報酬は固定報酬のみの型よりも低く設定されている一方で、契約終了時にはトータルリターンに対して一定の料率が追加でかかる仕組みとなっています。

(注:上記でとりあげた手数料体系の特徴は前回記事で運用実績を紹介したファンドラップを調べたかぎりであり、販売されているすべてのファンドラップをチェックしたわけではありません。)

上記のとおり各社のファンドラップの手数料体型を調べてみると、料率が変動する金額の区分は各社まちまちであり、どのファンドラップが割安な手数料体系かということは一概には比較できません。シンプルにコスト面ではファンドラップを決めるのは困難です。

しかし一つだけ言えることは、繰り返しますがファンドラップは運用成果の如何に拘わらず、金融機関にとっては通常の投信信託の販売よりも収益をエンジョイできる商品ということです。

■まとめ

さて4回に渡ってファンドラップについて気がついたことを記事にしてきました。

自分の資産運用を金融機関に一任できる個人投資家であれば、あえて一任する必要はありません。一任できない(投資の知識がない)人が一任してしまうと、もうそれは金融機関にいいようにやられてしまいます。

「お客様に代わって資産運用を行うサービスです。」

金融機関はこう唱えて、ファンドラップを売り込んでいます。

自分の資産運用の100%を誰かに任せることはできないにも拘わらず、あたかも任せることができるような幻想を抱かせるファンドラップという商品。

そこに罪深さを感じるのはWATANKOだけなのでしょうか。

2018年4月18日 (水)

ファンドラップを選んだ個人投資家がやるべきこと(その3)一任できることが引き起こすパラドクス

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(別に頼まなくても自分でできるけど...)

(前回からの続きです。)

前回記事では個人投資家がたとえファンドラップを用いたとしても、自分の資産運用の全てを金融機関に一任することはできず、ファンドラップの選択と継続について自己判断が必要になるという点を述べました。

今回は前回内容をさらに発展させた記事です。

■投資の知識の習得が必要

運用の委託者である個人投資家はファンドラップの選択や運用内容の点検を自ら行う必要があります。そのためには個人投資家自身が投資についてある程度勉強して、知識の習得が必要となります。

知識の習得といっても、投資の定石と勘どころをおさえた図書を数冊も読んで内容を理解すればひとまずは合格です。そしてWebや新聞等から世の中にどんなファンドが出回っているのか、おおよその現状やトレンドを知れば十分でしょう。

そのうえで個人投資家は、金融機関が自分のために組成したポートフォリオ、そしてその運用報告をチェックしていきます。

■やがて自分自身でも運用ができるのではないかと気づく

ファンドラップの運用報告を読んで、投資の知識があり、その運用の良し悪しがある程度判別できる個人投資家であれば、次に「この程度の内容ならば、運用会社のやり方を完璧にトレースすることまではできなくとも、だいたい同じようなやり方を自分でもできそうだ。」とういう発想に辿り着きはしませんでしょうか。

例えば

▼リスクを抑えたアセットアロケーションとするために、日本債券のシェアを過半にする。

▼為替リスクをおさえるために海外資産の半分は為替ヘッジ有り商品を選ぶ。

▼株式の国別ウェイトは時価総額に(だいたい)あわせる。

このようなことは金融機関に高い手数料を支払わなければできないことなのでしょうか。

またWeb上には「my INDEX」ほかアセットアロケーションを色々設定してリスクとリターンを測るツールがあちこちにありますので、ポートフォリオの自己組成にあたってはそれらの活用もできるでしょう。

ファンドラップの選択や運用の点検を自ら出来る個人投資家であれば、この気づきをきっかけに、自分でやってみる手間(実際は大した手間ではありません)とそしてほんの少しの踏み出す気持ちがあれば、ファンドラップの運用担当者がやっていることを摸することが十分にできるのではないでしょうか。

■ファンドラップのリターンの現実

「いやいや、素人はプロの運用担当者のアセットアロケーションを真似ることはできたとしても、プロの運用担当者は相場や為替の動向にあわせて機動的な売買を行ったり、優れたアクティブファンドを組み入れたりして、素人を常に上回る好成績な運用結果を出していることだろう。」

高いコストを支払っているのだから、上記のとおり考えてみたくなるのは当然です。

ではファンドラップの運用成績はいかに?

調査結果を見つけましたので紹介します。

引用記事

ヘッジファンドダイレクト
ファンドラップ型サービスの「手数料控除後リターン」ランキング
― 主要10サービス比較 ―

上記によると各社のファンドラップについて、2016年4月~7月を対象期間としてこれを年率換算した運用実績は以下のとおりです。

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上記以外にも数社ありますが、運用実績は非公開等となっています。

6社のうち、成績が一番良いところ(SMBCファンドラップ 8.1%)と、一番悪いところ(みずほファンドラップ ▲3.4%)を比較すると、両者の間ではなんと10ポイント以上の開きがあります。

やれやれ、ファンドラップもテキトーに選ぶととんだハズレくじにあたりそうです。

上記の結果をみて、WATANKOはファンドラップのリターンはさほど高くないと捉えます。

調査結果ではSMBCがダントツに高い一方で日興やみずほはマイナスですが、いつもこうとはかぎらないでしょう。

そうなると中位3社の成績の平均の4%くらいがファンドラップの妥当なリターン水準ではないでしょうか。

もし同じ運用を個人投資家が自分自身で行えば、金融機関に支払う1.5%前後の一任手数料分は個人投資家の懐に丸々入ることになります。さらに運用商品に関しても信託報酬がより安価な同種商品に切り替えることによって、信託報酬の差分が更なるリターン改善につながることが期待できます。

■ファンドラップ VS バランスファンド

投資の知識があったとして、それでも自分でポートフォリオを組成するのが面倒だという個人投資家にはファンドラップに辿りつく前に、バランスファンドを検討する余地もあります。

低コストで分散投資が可能となり、リバランスいらずでもある各社の代表的なバランスファンドの過去平均リターンをあげてみます。(データ元は「投信まとなび」)

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上述のファンドラップと対象期間がピタリ一致はしてはいませんが、直近1年と3年の両方のリターンをみることでだいたいの比較にはなります。

過去平均リターンについて上記バランスファンド平均は1年で5.8%、3年で3.7%とファンドラップと比べて遜色はありません。

上記比較の結果で見る限りでは10百万円単位のファンドラップを運用会社と複雑な一任契約を交わして用いても、ネット証券でバランスファンドを買っても大差はありません。

■一任できる個人投資家は、一任する必要がない

ファンドラップを選び、その運用を点検できる個人投資家には、すでに十分な金融リテラシーが備わっています。

そのような方であればそもそも金融機関に運用を一任する必要はなく、自分でほぼ同じことができると考えられます。

またそれでも手間が面倒という方にはバランスファンドという選択肢があります。

プロの運用担当者がオーダーメイドで頑張ってたたき出したリターンは、実際のところレディメイドで気軽に買えるバランスファンドのリターンと大差はありません。

以上からみえたことは、

ファンドラップで一任できる個人投資家であれば、逆に一任する必要がないというパラドクス。

WATANKOはファンドラップを扱う金融機関に対して、このパラドクスの解き方を尋ねてみたくなりました。

<次回予告>

次回は最終に再びコストの話です。今回記事を踏まえてファンドラップの手数料はどうあるべきなのかについて触れつつ、まとめ記事にする予定です。

(つづく)

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