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2018年12月 9日 (日)

(続)相続だ、土地活用だ、どうしよう

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(前回からの続きです。)

親からの相続や、それをトリガーとした土地活用についてどうすべきかという課題に直面した御方におくる、常識的にとるべきステップについて綴ってみたいと思います。

■相続と土地活用を分けて考える

相続と土地活用、この2つの課題にいっぺんに直面した際に、まるで連立方程式を解くがごとく一気に解決を図ろうとすると大変です。ここは相続と、土地活用の2つを分けて順序だてて対処していく方が着実なやり方であります。

まずは相続です。

1.資産を把握する

相続の大前提として、まずその対象となる両親名義の資産・負債、債権債務、契約に基づく保有権利と履行義務等を十分に把握する必要があります。

・現預金、有価証券、不動産、貴金属、他者保有の資産に対する持分等の資産
・借入金やその他の債務、契約に基づく各種保証

なかには両親しか知り得ない情報もあり得ますが全てを開示してもらうことは必須です。

もう少し実務的なアドバイスを付記するとなれば、両親から聞き出した資産・負債、債権債務などはきちんと証票をとっておき目録化しておくとよいでしょう。

法的に担保されているか、裏付けとなる契約は現存しているのか。両親から伝聞した内容について、証票でもって客観的な証明ができるところまでおさえておく必要があります。

2.税理士に相談する

上記で集めた情報をもって、税理士に相続税の試算をお願いします。この際に、できれば一方の親が亡くなった場合の相続だけでなく、残る親がさらに亡くなった場合の二次相続まで資産出来れば、両親からの相続の全容が把握できて良いです。

WATANKOは父が重度の認知症にかかり療養型病院に入院した段階で、両親の確定申告をお願いしていた税理士に父からの相続と、母が父から相続する予定の資産分にかかわる二次相続とをあわせて試算してもらいました。

試算をお願いする税理士の選定ですが、従前より確定申告をお願いしてきた税理士がいれば、当人の資産の凡そをあらかじめ把握していますし、これまでのお互いの信頼関係もあって任せられます。

しかし生憎そのような税理士との縁がなく、新規にどこかに依頼しなければならない場合には、親戚や信頼する友人に紹介してもらうのが安心です。しかしそのツテもなければ自分でWebなどを使って探していくほかありません。

その際には探し当てた税理士(税理士法人)が個人の相続税の申告のみならず、関連するコンサルティング業務をどこまで手掛けているのか、その対価はどれくらいになるのか。複数の相手をあたって比較検討してみることが欠かせません。

よい税理士に巡り合えれば、将来に渡って頼れる存在になることでしょう。

3.相続税の対応策を検討する

相続税の試算ができたら、これを納める原資をどう用意するか。または相続税の負担がかなり大きなものであれば節減できる手段はないか。これら対応策を検討します。

相続した遺産の内、相続税の支払いに充てる資産はどれにするのか。有価証券や不動産であれば売却して資金化が必要です。資金化といっても名義人である親が存命中にやっておくのか。それとも相続時に一旦相続人が自己資金から立て替えておき、相続した不動産を売却して回収するのか。

前者の場合は売却時点で課税が生じること、相続資産は時価評価なので不動産よりも現金の方が相続時の課税負担が大きいケースが生じるなどがデメリットに挙げられます。また後者であれば相続人の立て替え資金が、一時的ではありますが負担となります。

相続税の節減手段としては歴年贈与や相続時精算制度を活用することができます。ただし歴年贈与は1年あたりの非課税枠が1,100千円と限られているので、生前贈与の金額によっては複数年をかけて徐々に実施することが必要になること。相続時精算制度は、値上がりの可能性が高い不動産等の資産に対して適用する以外は、通常の相続と比べて納税のタイミングの違いでしかありませんことに留意しましょう。

ここまでのとおり資産の把握から相続税の対応策まで立案しておけば、とりあえず一息がつけます。

理想的には親が認知症含めた重度の傷病にかかってコミュニケーションが取れなくなる前に済ませておくべきでしょう。そして相続までの予想時間が十二分にあり、歴年贈与をコツコツと進めていくことができれば尚良しであります。

ちなみにWATANKOは60歳前後の時点で夫婦それぞれから二人の子ども達に対して、歴年贈与を始め、10年以上かけてコツコツ進める青写真を持っています。

■土地活用は複数のアイデアをじっくり検討

さて次に土地活用のステップです。

まず何事も前提条件と達成目的を見定めることが大事であります。

4.今後かかる費用を見積もる

親の傷病治療費や介護施設の入居費、葬儀代も含めた今後の老後費用と、相続の結果、保有する資産の税金や保険等の費用を見積もります。

これが将来の資金需要であり、土地活用の前提条件となること、そしてこの資金需要に対応することが最低限の達成目的となります。

勿論、この資金需要以外にも、相続した子ども達が土地活用を副業として、資産形成を図っていくことは十分アリです。

5.様々な土地活用方法

土地活用については色々な形態が挙げられます。どれも賃貸でありメジャーなところでは、以下でしょう。

①アパート(集合住宅)
②戸建て住宅
③事業用地(更地)
④事業用地+建屋
⑤駐車場

上記のうち①、②、④は資金負担が大きく、金融機関からの借り入れを伴うケースが多いでしょうし、賃貸先が個人か法人かによっても手間暇や難易度が変わってきます。

これらについて、僭越ながら過去の駄ブログ記事を紹介しておきます。

関連記事

所有地、更地にしたあと→①住居用建物(2013/9/23)

所有地、更地にしたあと→②住居用建物の続き(2013/9/25)

所有地、更地にしたあと→③店舗・施設(2013/9/27)

所有地、更地にしたあと→④駐車場(2013/9/29)

所有地、更地にしたあと→⑤売却(2013/10/2)


このほかにはコインランドリー、レンタルトランクルーム、太陽光発電設備等様々な設備を据え付ける形態も考えられます。

いずれにしても資金の収支(損益面とキャッシュフロー面の双方)、賃貸運営のリスクと手間暇について十分な比較検討が必要なことは言うまでもありません。

■まとめ

個人は生まれた時は、誰かの子どもという属性しか持っていませんが、成長して青年、社会人になるにつれて、学生、ビジネスマン、夫/妻、親、〇〇の代表者など段々と色々な属性を纏うことになります。

親から土地を相続したあなたは不動産投資家という新しい属性をもつわけですが、これをどう活かして、自分と家族の幸せに繋げていくのか。それは人によっては非常に不慣れな航海かもしれません。

WATANKOはもう20年近くこのようなことに取り組んできました。サラリーマンとの兼業は大変しんどかったですが、その分家計面では見返りもありました。

今、相続によって不動投資家の入り口に立ち始めた人達にとって、この駄ブログの不動産投資記事が少しでもお役に立ててれば幸いです。


2018年12月 8日 (土)

相続だ、土地活用だ、どうしよう

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(ぐぬぬ、悩ましい。)

WATANKOは実の父母とも他界しており、介護と相続はすべて片付いていますが、30~40歳代の方々にとっては親の介護や相続、それから場合によっては資産活用という課題にこれから直面していくことでしょう。

特にそれまで元気であった親が怪我や病気、はたまた認知症などを患いはじめてくると、こういった課題がにわかに家族の間でクローズアップされてきます。

対象となる親がすでにサラリーマンをリタイアして純然たる年金生活者になっていればまだしも、もしも自営業を営んでいたりすると、その商売をこれから一体どうしたらよいのかという課題もトッピングされてきます。

当人の配偶者や子ども達はこれらの課題に取り組んでいくことになるわけですが、多分に未経験の領域であり、お金が動くとなれば、この事態をビジネスチャンスとみて甘い勧誘をかけてくる業者群がいます。これらのアプローチに対しては、慌てずにじっくり考え抜いて行動を起こす必要があります。

「先週、父が倒れて入院した。今のところ意識は戻ったけどもう普通の生活はできそうにもない。いままで自営でやってきた工務店の商売はどうしよう。今後は父の介護や相続、母の老後費用などがかかる。そこでいっそ駅からだいぶ離れたところだけど仕事場に使っていた土地があるから、そこにアパートを建てて今後の費用をまかなっていこうかしら…。」

典型的な展開を例示すると上記のような感じでしょうか。

このようなシチュエーションのときに介護、相続、そして資産活用はどうしたらよいのか。本稿では相続と資産活用の内の土地活用について、常識的にとるべきステップについて綴ってみたいと思います。

■まず大原則「自分で決めて行動する」

実際のステップに入る前に、まず大原則について触れます。

上述の例示のように、相続・土地活用の課題に突然、しかもいっぺんに直面するとなると、当人は多少の動転や焦り、不安に駆られる気持ちになってもおかしくはありません。特に子どもにとっては大切な親の急変に驚き、悲しむ間もなく時にはビジネスライクに物事を進めねばなりません。

そうなると少なくない人は、誰かにすがりたくなるものです。そこまでいかずとも自分は何をすべきか、何か正解であるか、答えを求めて誰かに相談したくなることでしょう。

しかしながら他人は貴方に有益は情報を与えてくれることはあっても、貴方はどうすべきか、これこそが正しい選択だということは教えてはくれません。そんな義理も責任もありませんし、保証をするわけにもいかないからです。

また貴方が欲しがっている答えを見かけ教えてくれることがあったとしても、それを鵜呑みにすることは危険です。貴方にささやく不動産業者、アパート業者、コンサルタント、金融業者、工事業者等々はすべて自分のビジネスのために貴方に近づいてきます。

「この土地は掘り出し物、今を逃すともう手に入りませんよ。」

「アパートを建てて相続税対策しましょう。毎月キャッシュも入ってきますよ。」

「相続の節税対策のノウハウを提供します。土地活用対策の相談セミナーが有効ですよ。」

「借り入れをすれば少ない資金にレバレッジをかけて大きな投資ができますよ。」

おっとでもそれら各業者を敵視してはいけません。彼らはプロフェッショナルに仕事をしているだけなのであり、最終的な判断はあくまで貴方が握っているのですから。

貴方はもう未成年ではないし、自分の身に降りかかった課題に、自ら答えを決めて行動する必要があります。

「当り前じゃあないか。そんな常識はわかっているよ。」

そう受けとめる方は多いことでしょう。でもその中にあっても、自分が決めなければならない答えが、世の中のどこかに書かれている、誰かがきっと教えてくれると考えて、それを一生懸命探索してはいませんでしょうか。

そして自ら答えを決めて行動するためには、例え専門的な領域であっても一定の基礎的情報を得ること、それと適切な判断をするために必要な数の選択肢を揃えることが欠かせません。

これらを疎かにすると、「やっぱり辞めておけばよかった」「あちらの選択の方が良かった」という後悔にたどり着きます。

またそこまでいかずとも「限られた情報から判断」「たったひとつの選択肢を選ぶ」となるとコスト高に行きつきケースが多いです。なぜなら情報不足ゆえに選んだ方法のために過不足が生じて、無駄な費用を払ったり、追加で割高に費用が掛かったりします。

選択肢を集めることを疎かにして、価格の妥当性を考えずにたったひとつの候補をそのまま選んでしまう。面倒くさい、わからないからといって他者に依存、丸投げしたりすると高い手数料がかかります。

相続や資産活用という課題は多くの人にとって不得手な課題かもしれません。ならば猶更できるだけ情報を集めること、選択肢を増やすために行動することは後悔とコストを減らすために必要であります。

(つづく)


妻ミサト「肝心の本論はなぜに次回なの?」

WATANKO「すみません、今週末も風呂敷残業を持ち帰っておりまして・・・そちらを片付けないと・・・」


2018年12月 2日 (日)

潜入!シニア不動産投資家達のサバト

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(サバトとは宗教的な儀式を指します。)

WATANKOはサラリーマンをする傍らで、半ば家業ともいうべき不動産賃貸業を営んでいます。具体的には法人・個人向けにアパートや戸建て貸家、大小の飲食店舗、駐車場など色々なタイプの物件を手掛けてきました。

その中でアパートについては、アパートの建築・募集・管理まで引き受けるアパート業者を起用して建築、運営してきています。もっとハンドメイドな不動産賃貸業をすればより収益があがる可能性はあるのですが、サラリーマンとの兼業としてはこの辺りが限界です。

さてWATANKOはそのアパート業者からのお誘いをうけて、業者の顧客であるアパートのオーナー達が集まる懇親会に先日出席してきました。

懇親会の類については、アパート業者から以前より幾度となくお誘いをうけていましたが、億劫がっていて今まで出席していませんでした。

ところが最近、スルガ銀行やTETERUのニュースを聞いたり、不動産投資が相変わらず活気を帯びている状況をみるにつけ、他のアパートオーナーと情報交換をしてみたくなりました。そこで今回、初めてアパートオーナー達が集う懇親会に出席してみることにしたわけです。

さて懇親会の会場は市内にある料亭です。料亭といっても田舎のそれですから、とびきり上等というわけではありません。まあよくある法事などに使われるレベルの場所です。そこに高級車や大きなミニバンに乗ってアパートオーナーとおぼしき人たちがどんどん集まってきました。

■集まったアパートオーナー達

当日は十数人のアパートオーナーが集まりました。ざっと眺めるに全員WATANKOよりもおそらく年上であり、見事にシニア集団でありました。まあ、この辺は予想どおりであります。田舎の地主系オーナーが大半でしょう。

WATANKOはアパートオーナー達が居並ぶ長テーブルの端の方に座って彼らの生態を眺めていました。すると集まったオーナー達はいくつかのタイプに類型できました。

<やり手のマダムタイプ>

恰幅のイイ(失礼)60代半ばのマダム。化粧は濃く、ひっつめ髪、ギラギラした目と指輪をつけています。女優で言えば、あき竹城が派手目にした感じです。息子の嫁とアパート業者の若手担当を顎で使っていそうな印象です。

持っている土地は何であろうと活用してお金を生み出したい。さらには良い土地があれば家族で金をかき集めてでも買って手に入れたい。

そんな口癖でもって大家族の資産形成を一手に担っていそうなエネルギッシュなマダムです。

<話好きな好々爺タイプ>

70代とおぼしきおじいさん。老俳優でいえば故人ですが笠 智衆がイメージにピッタリ合います。地味な色合いのジャケットを羽織り、会場である料亭の正面玄関に軽トラックで堂々と乗りつけます。

アパート業者の担当が話しかけると、まるで孫から声をかけられたかのように楽しそうにマイペースで長々と自分語りをしています。

よく話を聞いてくれたアパート業者から勧められれば、思慮なしに新築アパート建設をすすめたりしそうです。

<品の良い夫婦タイプ>

60歳前後のシニア夫婦。旦那様はゆったりとしたセーター姿、奥様は首元にスカーフをまかれてのご登場。例えるなら芸能人のイベントには必ず夫婦でやってきた長門裕之と南田洋子のような出で立ちです。料亭の駐車場に停めた愛車はベンツEクラス。

アパートを何棟か持っており、将来の入居率の低下が心配とはいうが、ホントに心配しているのかと疑問に思わせるくらい穏やかな御表情。なにかにつけ余裕綽々という言葉がよく似合いそうであります。

以上の方々、下手な絵ですがビジュアルとしてはこんな感じです。(パソコンのスキャナーがうまく作動しないので、撮った写真を張り付けており映りが悪いところは御容赦ください。)

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■現地の不動産事情

さて上記のとおり、いろいろなタイプのアパートオーナーが集まる中、アパート業者の比較的若い部課長クラスと思われる人たちが熱心に歓待します。また宴が進むとアパートオーナー達同士の間でもポツリポツリと会話が始まります。

WATANKOもまた正面に座った品の良い夫婦と、アパート経営について会話を交わしました。先方はもう子育てを終えて悠々自適な生活に入っているとのこと。「なんと羨ましい限りですね!」とWATANKOは義理もないのにおもわずヨイショしてしまいました。

余談ですが、WATANKOが住む町は、具体的な所在がわかってしまうので詳細は明かせませんが、周辺市町村と比べて人口流入が多くてアパート需要がとても高い一方、田舎であるので地価は比較的安いという事情があります。

ですから高い入居率が期待できるアパートをコストを抑えて建てられるので、アパート経営の妙味があり、どんどん新築物件が出来てきています。

今回ここに集まったオーナー達からも、「供給過剰」の四文字熟語はどこかに忘れて、1棟でも多くの物件を手に入れたいとする熱気が伝わってきました。

それはまさに不動産投資を信奉する者たちのサバトであります。

■アパート業者と交わした会話

その他にWATANKOはアパート業者の担当や支店長クラスとの会話で最近のアパート経営事情について色々と聴取しました。とくにアパート建築・購入にあたってのオーナーによる金融機関からの借入について、通常のサラリーマンは与信が限られるため最近は金融機関側がかなり厳しくなってきたが、担保となる不動産を持っているオーナーであれば、全く問題はないとのこと。

支店長「ですから、WATANKOさん、駅前にひとついい物件があるのですが、如何ですか?」

WATANKO「いやー、結構です。」

また今後の供給過剰を考慮すると、これからアパートの収支計画を立てる場合には、できれば計画期間全体の平均空室率を30%くらいみておいた方がよいともいわれました。これはWATANKOも納得であり、なかなか良心的なアドバイスであります。計画からの乖離について上振れはOKですが、下振れは避けたいのでなるべく保守的に見ておくべきでしょう。

なおアパート業者の営業課長は、学生時代にWATANKOが当時所有していたレストランでアルバイトをしていたことが判明。ちょっとだけ昔話に花を咲かせました。

■まとめ

休日の昼食時に開かれた今回の懇親会。地元のアパートオーナーの生態を垣間見る機会と、多少の情報収集ができたことをふまえれば、まずまずの内容でした。

このサバト、同じ様相であればもう出席は不要ですが、今後もしもWATANKOよりも若い世代が集まるのであれば、彼らとの交流もちょっとしてみたいという気持ちもあります。

いや、そんな働き盛りの彼らはきっと本業で忙しいでしょうね。


(あとがきにかえて)

妻ミサト「懇親会はどうだった?美味しいものは出たのかしら?」

WATANKO「いや、ただの和風コースでした。見るべきものはなかったです。」

妻ミサト「それじゃあ、今夜は気分転換に駅前にできた新しい蕎麦屋にいきましょう。パクチー蕎麦が美味しくて評判らしいわ。貴方も飲みなおしたら?」

WATANKO「ハイハイ、(10年後の妻は一体どんな不動産投資家マダムになっているのだろうか・・・)」


2018年10月23日 (火)

華麗なる法人成りを考える際の現実的な視点

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(法人成りは慎重に)

個人投資家諸氏の中には自分が行っている副業を個人事業から法人へと転換し、その経済面のメリットを享受しようと考える方、そして実行に移す方をWeb上でもリアルでもみかけることがあります。いわゆる法人成りであります。

自営業においてのそれは、商売が一定規模以上になってきたときには至極当然の発想であり、行動でありましょう。

WATANKOはその昔、アパート経営を始めた時に、アパート建築・仲介会社から法人成りを勧められました。アパート経営の売上と給与所得をあわせて、年収が20百万円程度を越える場合、法人成りした方がオトクとのことです。

はたしてWATANKOのようなサラリーマン兼業不動産投資家にとって法人成りは妥当な選択なのでしょうか。

■法人成りのメリットの現実的な視点

法人成りのメリットとそれに対するWATANKOがみた現実的な視点は次のとおりです。

「一定額の所得以上であれば、税率は個人よりも法人の方が低いです。」

「家族を役員にして所得を分散させ、累進課税率を引き下げます。」

⇒これは税務的にはそのとおりですが、金額的に十分なメリットになり得るためにはそれなりの所得規模があることが必要です。後述しますが、法人化にともなう維持コストの発生をカバーするとどこまで手残りの利益があがるのか。

「個人では認められない経費も法人なら認められます。」

「さらなる節税方法として保険を購入して利益圧縮できます。」

⇒自家用車の減価償却費も計上できることにはグッときます。しかし冷静になればこれは税金分がかからないという話であり、出費自体は個人も法人も同じです。費用計上できるからといって、浮いた税金分以上に無駄な出費自体を増やしてしまっては元も子もありません。また個人事業主であっても経費での落とし様は色々とあり、法人の場合との差もどれだけあるのかについては一概には言えません。

「欠損金がでれば繰り越しして、後年の利益とぶつけて節税できます。」

⇒赤字が出ることを前提としたメリットが果たしてメリットと言えるのでしょうか。これは赤字に対する税制面の救済であり、赤字自体を丸ごと補填するものではありません。セーフティネットのようなものと勘違いしているとしたら危険です。

「法人なので信用力があがります。」

「債務に関して有限責任にできます。」

⇒個人事業主が法人成りした会社に対して、その個人以上の与信など付きようがありません。借り入れをしようとすれば、個人保証を求められるケースが多いのではないでしょうか。その意味からすればこれらはほとんど幻想にすぎません。

■不自由で手間がかかる点を覚悟すべき

一方で法人成りに対するデメリットもあります。

「赤字でも税金の支払いが発生します。」

「設立費用が掛かることに加えて毎年の決算、税務などの事務コストが増えます。」

上記はよく指摘される内容ですが、現実的な視点からみれば、ことはそう簡単ではありません。

1.スキームが複雑化

法人形態を導入することで、自分の所有不動産に関わるスキームが複雑になり、所有不動産の将来のマネジメントに制約をうけることがあります。

将来、子どもなど後継者が法人や不動産を引き継ぐ時に、このスキーム含めてきちんとできるのか?個人の死後、後継者はひょっとしたら法人の清算や不動産の売却を行うやもしれません。そのときに複雑なスキームを残しておくと恨まれそうです。

2.都度、専門家の費用がかかる

何か追加アクションを起こそうとするたびに、専門家に依頼することになり、諸経費が発生します。あわせて手間暇もかかってきます。

こういった費用は法人成りで得た節税分を結構相殺してしまうやもしれません。

3.法人の資産を勝手に利用できない

法人成りによって、法人名義の現預金がある程度たまる仕組みとなります。法人名義のこの現預金を使って、個人が自分の名義で勝手に別途資産を買うわけにはいきません。

その場合、かたいことをいえば法人と個人の間で金銭貸借の契約を交わし、個人は法人に一定の金利を支払う必要があります。また返還をしないならば、永久に契約の更新が必要です。

■まとめ

上記1~3の問題は、個人が法人経営に余裕時間のかなりを割いて取り組み、かつそれ自体にやる気をもって取り組み、十分なシミュレーションの上に実行すれば、最終的には個人事業よりも経済的な便益も得られるでしょう。

自営業の方であれば法人成りのメリットを徹底活用すべく、こうして知力と体力を投入することは十分可能かもしれません

しかしながら、サラリーマンが兼業の形態として、単に節税のために気軽に法人成りを実行することには慎重になるべきです。当初思いもしていなかった手間や費用負担が発生する、複雑かつ制約があるスキームのために資産利用や法人の移管がとても大変となる、といった現実的なデメリットが生じる可能性を忘れてはなりません。

(あとがきにかえて)

本記事では専門的な税務アドバイスととられかねないように、税制に関する具体的な数値には言及していません。税制面の詳細については関係官庁・自治体やしかるべき専門家に確認いただきますようお願い致します。

2018年10月 4日 (木)

不動産を子ども達の足枷にはしたくない

【10月3日終値ベース運用状況速報】

■投資元本(待機資金含む)

145,000千円

■評価損益(分配金・確定損益・税還付込み)

62,466千円

■損益率

43.1%

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(この物件、どうしますか?)


親から不動産を相続した方々におかれましては、その不動産を将来どうするのでしょうか。

なかには不動産そのものだけではなく、「土地は唯一無二の財産。先祖代々から受け継がれた土地を自分の代で手放すわけにはいかない。」という固定観念までも一緒に親から引き継いでいる方がいるかもしれません。

ところで「先祖代々の土地」とはいいますが、そもそも土地が有難われたのは、そこを田畑として利用することで米をはじめとする農作物を収穫することによって経済的な基盤となったからです。また戦後の高度成長期は事業用地、居住用地として賃貸ないし売買で大金を得られたからです。

しかし今やそんな土地神話は、一部の都市圏を除けばかなり廃れており、持っていてもお金を生む財産として活用するにはそれなりの工夫と努力が必要です。

今の世の中には土地の有り難みが以前に比べればグッと減ってきています。

特に田舎にいけば境界線がはっきりしない、接道がほとんどないという条件の土地を受け継いでいるケースも見られ、現地を見て「さて、どうしたものか」と頭を抱える子孫もチラホラ・・・

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もしも先祖代々の土地と称される不動産を相続した貴方が、その不動産の処分を考えた時に親類から「先祖代々の土地を売るなんでとんでもない」とクレームを受けたのなら、どうしますか。

WATANKOなら、そんな相手に対して「それならあなたが固定資産税を普段してくれますか?それとも適当な賃貸先を斡旋してくれますか?なんなら斡旋の謝礼を支払ってもいいですよ。」と問い返したいです。

先代から受け継いだ「家」を守る。その象徴的な行動が、継承した不動産をキープし続けることでしょうか。

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先祖から受け継いで次代に残すものがあるとしたら、それは先祖の血脈を持つ者の「繁栄」ではないでしょうか。

つまり親がすべきことは、子ども達にたいした利用価値がなくなった不動産を後生大事に引き渡すのではなく、子ども達が経済的に自立して立派になってくれるよう道筋をつけたりタイムリーな支援をすることではないでしょうか。その方がよほど先祖は喜ぶでしょう。

子ども達が努力を積み重ねてひとかどの成功を収めることの方がはるかに素晴らしい。そのためにお金が必要となれば、親は先祖代々の土地を処分しても構わないでしょうし、継承した子ども達が必要と思えば手放してもよいでしょう。

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以上のような考え方のもとにWATANKOは保有する不動産をそっくりそのまま子ども達に引き渡すことは考えていません。

事業用地、居住用地であってもいざとなれば売却が比較的容易な物件は残して継承してもらうメリットがあります。

しかし一方で売り手がつきにくい、何らかのトラブルを抱えた不動産は自分の代でその始末をつけておきたいと考えます。そのような不動産を子どもたちに継承させたとしたら、それは問題の先送りであります。さらに子どもたちが将来、解決を図ろうとしても時間の経過とともに情報が飛散し、当時の関係者も居なくなるなど今よりも不利な状況におかれる確率は高いです。

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WATANKOは子ども達に対して管理の手間がかかったり、活用や処分が容易ではない特定の不動産に縛られた生き方をさせたくはありません。子どもに足枷となる不動産を渡したくはありません。

したがい普段はほったらかしでよい、いざとなれば処分が容易な事業用ないし居住用の不動産だけを最低限残して、あとの不動産が時間をかけて処分をすすめることに決めました。

2018年9月 5日 (水)

真・臆病者のための不動産入門

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(記事タイトルには「続」や「補稿」ではなく、より核心に触れる意味から「真」とつけております。。。)

スルガ銀行やTETERUの不正の様をみて、前回、事業計画書のチェックポイントについての記事を書きました。

そこで書いてきたことは今まで当ブログでも触れてきたり、他者の記事でも書かれてきたことでもあります。

今回は、サラリーマンと兼業する不動産投資、とくにアパート経営を検討されている個人投資家向けにもう一歩踏み込んだ内容を取り上げてみます。

■アパート経営では実質利回り5~7%はほしい

アパート経営の収益性をみる指標として、「アパートの満室ベースの年間賃料収入÷アパートの物件価格×100」を表面利回りと称します。

ただしこれはかりそめの利回りであり、企業決算でいえば売上高対総利益率のような中途段階の収益力を表現したにすぎません。この利回りだけで相手に購入判断を強いる業者について、WATANKOに言わせれば「3分の1くらい詐欺」であります。

アパートの本当の収益力は「(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100」で算出される実質利回りでみるべきですし、されにもっといえば分子については70~90%程度の入居率、分母については修繕他予定外費用向けの引当金をそれぞれ加味した「(リスク織り込み)実質利回り」でみるべきでしょう。

さてアパート物件を選定する場合、表面利回り、実質利回りはそれぞれどれくらいを目安にするべきか。

まず表面利回りについて、WATANKOが見てきたいくつかの事例をもとに言えば10%はほしいところです。

なぜなら購入時の諸経費を複数年に渡って回収したり、年間の諸経費を負担していく、さらには空室の発生などを考慮すると、表面利回りに対して実質利回りは3~5ポイントくらいは悪化するためです。

株式投資の平均リターンは諸説あれど5~7%と言われています。株式投資に比べて手間が遥かにかかる不動産投資のリターンが株式投資に比べて大きく劣後するとあっては、投資の妙味がありません。

したがい実質利回りはせめて株式投資と同様の5%~7%くらいは欲しいところです。そこから逆算すると表面利回りは10%が必要となってきます。

■新築アパートでは採算が厳しい

一般的な新築のアパートで最初から上述の実質利回り5~7%を出すとなると、相当に厳しいです。なぜなら車ほかの耐久消費財と同様にアパートもまた新品は割高になっているからです。

その割高なアパート取得価格を回収するためには、家賃が高く設定できたり、高い入居率が期待できる立地の良い物件を選びたいところですが、そのような好立地の物件は土地代が高い傾向にあるため、それがまた取得価格を押し上げてしまいます。

新築物件にこだわるのであれば立地の良し悪しもありますが、坪単価の安い土地を購入し、せめて複数の建築業者をコンペにかけて建屋の費用をできるだけ抑えていく必要があります。

そのためには土地選びや建築見積の査定に関してのある程度の知識、経験が必要となってきます。

それでも入居の需要を読み違えて空室が増えたり、運営中に予想外の出費が続けば実質利回りはどんどん悪化します。

どこまでいってもリスクばかりがつきまといます。

もし新築アパートでは思うような利回りをあげることができるとすれば、親族から土地の相続や譲渡を受けた場合があげられます。つまりは土地の取得費用がかかっていないので、その分採算は良くなります。

しかしそれも立地次第とも言えます。いくら相続で手に入れた所有地があるからそこにアパートを建てたいといっても、入居の需要が乏しい立地では採算確保が厳しいでしょう。

■中古アパートも難しい

それでは中古アパートではどうかというと、これもまた物件選びが難しいです。中古ゆえに物件の価格はこなれていますが、立地の良し悪しや周辺物件との競合を背景として購入後に賃料や入居率はどれくらい見込めるか。

さらにそこに物件の状態が変動要素として関わってきます。いくら割安で取得できても、その後に大幅な修繕維持費・リニューアル費用がかかるようでは、実質利回りを低下させます。

以上から中古アパートの選定は、新築アパート以上に目利きが必要ですし、それを得るためには色々な物件を見てまわったり、保有経験を重ねるなどの時間と労力がかかります。

サラリーマンとの兼業の場合、週末は物件を見て廻って終わりなんて日が続くかも知れません。

そして残念なことを付記しますと、仲介する不動産業者からみれば明らかに優良物件であるならば、業者自身が所有することも想像できます。そんな業者が自らが所有せずに貴方に斡旋してくる物件の魅力ははたしていかほどのものであるか。

■まとめ

以上をまとめますと、新築アパートは土地の購入も建築発注も自分自身でなるべく取り扱って費用を極力抑えるほかありませんし、これにはそれなりの知識と経験が必要となります。

ただし相続・譲渡で土地代がかからないケースでは、立地にもよりますが採算は良いでしょう。

では価格のこなれた中古アパートとなると、物件選びには一定の目利きが必要であり、それを身に着けるために時間と労力がかかります。

また新築、中古問わず満足がいく採算性をもった物件を手に入れるためには、知識、経験、時間、労力に加えてさらに対人ネゴ力なども必要となります。

もしもアパート経営を成功させたいならば、相応の覚悟が必要です。巷には所有物件を拡大させていき億単位の年収を得たなどという成功者が華々しく喧伝されています。

しかしながらその一方では株式投資の場合と同様に、敗残した者たちが沢山いるであろうことをもし貴方が想像できるとすれば、不動産投資を手掛けられる心構えはひとつクリアできているかもしれません。

2018年9月 3日 (月)

臆病者のための不動産入門

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(某作家の著書にちなんだ本記事のタイトルです。)

まだまだ流行の不動産投資について、いくばくかの経験があるWATANKOより、新規の不動産投資をお考えの紳士淑女の皆様に本稿をお届けします。

アパート運営会社のスマートデイス社の経営破綻から芋づる式にクローズアップされたスルガ銀行。同銀行が貸付先の預金通帳の改ざんを知っていた不正融資問題。さらには私もやってましたと白状したTATERU。こんなニュースが飛び交っていると、新規のアパート投資を検討中の方も不安になってくることでしょう。

それは良い嗅覚です。今手元にあるアパートの収支計画をよくチェックされてはいかがでしょうか。

参照記事

株式投資家ハードロックマンの投資ブログ
TATERU Apartmentで不動産投資をして1年。空室が響き計画とはほど遠い悲惨な結果に・・・

冒頭でふれたTETERUに関して、同社のアパートで不動産投資にされた個人投資家がその収支状況を紹介しています。それを拝見するとかなり問題だらけです。個々の数字の不味い点の指摘まではしませんが、この事例からあぶりだされてくる「業者が出してくる収支計画の数字」に関するチェックポイントをあげてみます。

1.諸費用の中味

計画書の支出項目の中には往々にして「諸費用」と書かれた項目がありますが、この中味は何なのか。さらには諸費用以外にも使途がわかりにくい項目は確認が必要です。

建築費用についてもできるだけ内訳を手に入れ、坪単価を算出しましょう。それをWebなどで入手した他事例とできるだけ比較する。基本的にアパートは個人が建てる家にくらべて安普請です。建築費用が個人宅と比べて適正な水準に収まっているか。

2.管理費の妥当性

月々の管理費でカバーされるのはどの役務までか。別途かかる費用の有無・内容はどうか。料率自体も妥当な水準か。役務範囲にもよりますが、募集・管理のサービスひと通りの場合で5%を超えたら高いと思った方が良いでしょう。

3.借入金利の水準

借入金利の水準にも注意すべきです。将来の借り換えや繰上げ返済を視野にいれて、当初の固定金利の期間をどれくらいで設定するか。

固定金利は累計の事業収支を計算する際には便利ですが、一方で借り換えや繰上げ返済をする場合、金融機関が固定金利の期間中に得る予定であった金利収入が損なわれるため、これを支払う必要が出てくるケースがあります。

4.一過性費用の想定

長年アパートを保有していると建物・設備の劣化や破損が生じます。こうした一過性の費用については毎年の収支の中である程度引き当てておくべきでしょう。

入退去が繁雑になるだけで清掃費用やアパート管理業者に支払う諸費用が嵩むケースもでてきます。誤解を恐れずにいえばアパート管理会社や建築会社は貴方のアセットから今後いくら搾り取れるか皮算用をしているともとれます。

5.空室リスクの織り込み

アパート運営期間中、空室率がずっと0%ということはまずありえませんので空室リスクを勘案することは必須です。

相当強気な場合でも10%くらいはみておくべきでしょう。その分収入に欠け目に生じるのですから、それを前提にした収入とすべきです。さらには10年をすぎる頃には、どうやっても空室率が上がる想定を織り込むことも必要です。

6.保守的な利回り計算

利回り計算は保守的に行いましょう。これまであげたことを反映、つまり費用はできるかぎりみておく、収入は空室リスクを反映するわけです。そうやって固めに算定した年間収支額を、アパートの取得にかかった総費用でもって割ります。

これで算出された利回りが株式投資を代表とする他の投資方法と比べて妙味があるか。数値の優劣だけでなく、潜在リスクや手間暇なども勘案した総合的な判断が求められます。

ちなみに参照記事の中にあった利回り表示はもう全くデタラメです。

7.あてにならない家賃保証

家賃保証(含むサブリーズ)はあてになりません。保証しているのは家賃であって賃料ではないからです。

また契約した家賃保証については一定期間毎に賃料見直し条項があったり(つまりは賃料が引き下げられる)、保証した家賃の支払いは空室の発生後一定期間を経てからであったり、はたまた契約当初に数か月分の家賃を契約料として支払う(つまりそれが先々の保証家賃の原資となるだけ)ことになったりとオーナーにとっての収益リスクの回避に繋がらない場合が少なくありません。

ちなみにこの家賃保証は新築アパートの場合のみに適用されることがほとんどですが、新築の時期、つまり物件の競争力が一番強い時期からわざわざ家賃保証が必要でしょうか。もしも必要であればそのような物件の先々の収益性は大変不安なものでありましょう。

8.出口戦略のイメージ

出口戦略を考えておきます。保有物件は5年、10年、あるいはもっと短期で売却することが前提なのか。それともその物件を長期間、持ち続けるのか。後者の場合、建屋が老朽化したらどうするのか。それによって物件の選び方や保有期間中の費用の掛け方が左右されます。

ただし算定された当初の収支計画が満足のいくものであれば、当面はスルーでもよいかもしれません。

以上、本来なら各項目ごとにブログ記事が1本書けるくらいの詳細があるのですが、まずは大変大まかであっても上記のとおり挙げてみました。

個人向け不動産投資の勧誘はその内容について、昔からよくよく注意してみるべきケースが散見されます。

スマートデイズやTATERUが日本に残った最後の問題業者というわけではないでしょう。

皆さん、くれぐれもご注意ください。

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赤字の不動産物件で節税とはこれいかに(20108/3/8)

妻ミサト「あなたって不動産投資になると、荻原〇子さんが投資について注意喚起するみたいに、やたらアラーム記事を書くわね。」

WATANKO「不動産投資は多額の借入を伴うことが多いので、大失敗すると家計へのダメージが計り知れませんからね。やってみた後悔よりも、やらなかった後悔の方がなんぼかマシです。」

妻ミサト「結婚もかしら?」

WATANKO「それは相手次第でしょう。」

妻ミサト「!!!」

WATANKO「!!!」

2018年3月 9日 (金)

(続)赤字の不動産物件で節税とはこれいかに

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(前回からの続きです。)

赤字物件を保有することで、他の所得と合算して課税所得と減らすことにより節税する。
この話はトータルでおいしい話なのか、試算してみました。

するとキャッシュフローの合計は赤字となり、結局は手元の現金を減らしただけに終わりました。

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■なぜこうなってしまうのか

試算内容を見てみますと、赤字となっている構造は賃料収入(キャシュイン)よりも減価償却費の方が大きいところにあります。

つまりこれは毎年の賃料収入を上回るスピードで物件の価値が落ちていることを現しています。

物件の売却の際には購入時と比べて通常、建物の価値が減じた分だけ価格が減額されます。

5年間の賃料収入よりも、5年間で価値が減った分の方が大きければ、結局は手元の現金が流出した結果に終わります。


■どうしたらこれを回避できるのか

赤字、つまりは毎年の賃料収入<減価償却費となるにもかかわらず、保有期間のキャッシュフローの合計を黒字にもっていくためにはどうすればよいか。

それは売却時に、簿価価額<(購入価格)-(保有期間中の減価償却費の合計)>よりも高い金額で取引することです。

試算結果でいえば、37,500千円+4,000千円=41,500千円以上の金額で売却できればキャッシュフローの合計は黒字になります。

しかしことはそう簡単に成就するでしょうか。

当該物件は「賃料収入<減価償却費」となることからわかるとおり毎年の利回りがよい物件とは決して言えません。そのような物件が売却時に簿価を一定額上回る金額で売れるでしょうか。

また保有中に空室率が想定以上に上がってしまい、賃料収入が落ち込むことになれば、それはキャッシュフロー合計にマイナスの影響となります。その場合、キュッシュフロー合計を黒字とするために、売却価格のハードルがさらに高まることになります。

空室率があがっている場合、不動産市場もまた冷え込んでいるか、市場自体はよくても当該物件の魅力が相対的に落ちている状況であると考えらますので、希望する価格での売却には相当に困難が伴うやもしれません。

■それでもあえてやる意義はあるのはどんな場合なのか

考えてみましたが、WATANKOが思い浮かべたのは次の2点でした。

1.他の所得がとても高いことによって高い累進課税率を負っている場合

この場合、不動産収入の赤字をぶつけることによって合計の課税所得が減り、累進課税率を低くできることで節税効果が大きくなることです。

この場合、大きくなった節税効果を取り込んでキャッシュフロー合計がより改善しますが、高い累進課税率を引き下げるためには、それなりの大きな不動産収入の赤字が必要となり、それは一方でキャッシュフロー合計を大きく悪化させる可能性もはらんでいます。

2.土地の値上がりが期待できる場合

建物の価値は減価償却によって減っていくことは明らかですが、土地は減価償却しません。将来、売却時には土地分の価値が上がってその分高く取引できる場合には、キャシュフロー合計は改善します。

しかし土地の値上がりが見込める物件をどれだけ見つけることができるでしょうか。値上がりが見込めたとしても、それはあらかじめ購入時点で織り込まれており、購入価格が割高になっているやもしれません。

■まとめ

不動産取引を斡旋する業者は、物件購入のメリットをいろいろと唱ってきます。しかし冷静になって、保守的な条件、ワーストケースでもって十分な試算をしてみることが大事です。そうしないと利益どころか赤字を押しつけられかねません。業者からババをひかされることがないようにしたいものです。

なお試算では管理費、保険料、修繕維持費等を差し引いた賃料収入が黒字という前提条件でしたが、もしもこの賃料収入の段階で赤字であるような物件の場合は、もう全く検討には値しないことは言うまでもありません。

2018年3月 8日 (木)

赤字の不動産物件で節税とはこれいかに

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(赤字で節税、すなわち儲けるとはこれいかに)


相互リンクいただいているフクリさんのブログから興味深い記事を拝読しました。

参照記事

フクリさんの資産家になろう!
赤字目的の都内マンション投資はおすすめできない。

記事ではフクリさんが読者からの質問に答えているのですが、その読者の説明には、

先日、G◯technologiesという会社の面談を受けてきたのですが、空き室リスクはあるものの、赤字申告することで毎年100万円以上の節税が可能であるという話を聞いてきた

とあります。

この「赤字申告をすることによって節税になる」という宣伝文句は、時折不動産売買の斡旋で聞かれる言葉なのですが、どういう仕組みなのか推察してみました。

不動産物件を購入すると、その物件から得られる収入は赤字となる。不動産収入の赤字と、別の収入の黒字とを合算して総合課税として申告をするので、別の収入のみの場合と比べて、不動産収入の赤字の分だけ課税所得を減らすことができ、支払う所得税も減ることになる。

こんなところでしょうか。

本当にこれは節税となり、トータルでおいしい話なのか。ひとつ試算してみましょう。


■キャッシュフローの合計は赤字

(前提条件)

1.築2年経過後の木造物件を不動産物件を50,000千円(簿価相当)で購入する。

2.賃料からキャッシュアウトする諸経費(管理費、保険料、修繕維持費)を差し引いた残りの収入が1,500千円/年。利回りは3%。

3.物件の耐用年数期間は22年。築2年経過で簿価が50,000千円なので、残り20年で償却すると減価償却費は2,500千円/年。

4.5年経過時点で、同様にその時の簿価相当で売却する。

この前提条件で節税効果を試算してみます。

収入が1,500千円/年から減価償却費2,500千円/年を引くと、確定申告上の課税所得は▲1,000千円。

これを他の所得と合算すると、税率を20%とおいた場合、▲1,000千円×20%=▲200千円。

つまり年間200千円の節税効果を5年にわたって得る事ができ、その合計は200千円×5年=1,000千円となります。

それではキャッシュフローの合計はどうなるでしょうか。

売却価格37,500千円+5年の賃料収入合計7,500千円+5年の節税効果1,000千円の合計46,000千円から購入価格の50,000千円を差し引くと、

4,000千円の赤字です。5年経ってみて手元の現金はこれだけ減ったことになります。

以上をまとめると次のとおりです。

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節税のために赤字物件を買って運用してみたところ、結局は手元の現金を減らしただけに終わりました。

▼なぜこうなってしまうのか。

▼どうしたらこれを回避できるのか。

▼それでもあえてやる意義はあるのはどんな場合なのか。

(つづく)

2018年2月 3日 (土)

(続)かぼちゃの馬車の事例をクリッピングして多くのことを学ぼう

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(前回からの続きです。)

前回とりあげたWeb記事の続編記事をあげながら、引き続き注目点をみていきます。

参照記事

楽待 不動産投資新聞
700人から1000億円をむしり取った「魔法の言葉」

“「貧困ビジネス的な側面もあって、入居者がいなくても会社は黒字経営できるという説明。社会貢献につながるという仕組みに良い印象を持ち、購入することを決めたんです」”
“比較的高収入のオーナーにとって、『地方から上京してきた若い女の子を救う』という社会貢献のビジネスモデルは魅力的に映る部分があったのも事実。”
“賃料以外にも収益源があって高利回りということ、そして事業の内容も社会貢献度が高いと思って投資を決めたんです”

▼入居者がいなくても黒字経営できるという説明に対して、数字の裏付けをどこまで確認したのでしょうか。

▼そして発言の中に何度も出てくる“社会貢献”という言葉。投資対象の選定や投資理由にこの言葉がでてきた途端に胡散臭くなります。

投資の本来の目的はリスクをとってリターンを得ることです。ここに社会貢献などと言った美しくも空虚な目的を絡めた途端、WATANKOには投資の本来の目的の支障になる、失敗に備えた言い訳にしか聞こえません。

本当に経済面で社会貢献をしたいのであれば、純粋な投資行動とは切り離して、日本赤十字社かユニセフに募金をすればよいです。児童施設にタイガーマスクよろしくランドセルを贈ればよいです。

週末にターミナル駅で子ども達がやっている街頭募金に1万円差し出す方が、自分が社会のためにいくらを費やしたか明快です。

投資の本来の目的を追求することを曇らせてしまう“社会貢献”なる言葉が、今回のスマートデイスのような営利業者から出てきた途端、そこには社会貢献という言葉を被せたくなる理由(ここではビジネススキームの危うさ)が存在すると考えて良いでしょう。

なお一番上の発言でオーナーが使う“貧困ビジネス”という言葉は貧困者から搾取を続け、貧困状態のままにするビジネスを意味するので、発言の主旨からして使い方がおかしいです。

「かぼちゃの馬車」で暴利を貪るスルガ銀行の闇

“飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していたかにみえたスマートデイズ(東京都)。それが一転して破綻への道を歩み始めたのは、ほぼ全ての物件の融資を行うなど積極的な姿勢を示してきたスルガ銀行が、昨年10月に方針を変更したことが契機とみられている。”

上記の記事にはスルガ銀行がスマートデイスを通して、比較的高所得のサラリーマンを中心とした個人を食い物にしたことについて書かれています。

記事から読みとれるように、昨年10月のスルガ銀行の融資方針の変更によってスマートデイスの“かぼちゃの馬車”はそのビジネスモデルが成り立たなくなってしまいました。

いや、もともと金融機関の融資方針に左右されるビジネスモデルなどは、最初からあり得なかったといった方が正しいかもしれません。スマートデイズは、スルガ銀行の走狗でしかなかったと思われも仕方ありません。

(まとめ)

投資信託は、それを欲しがる人であれば、大抵の場合、皆同じものを買うことができます。これに対して不動産物件は同じものは2件としてありません。

そこで不動産は個別物件ごとにキャッシュフローの収支をしっかり見積もることが必要です。

オーナーと関係業者に対して誰がお客なのか(お金を支払ってくれるのか)。そのお金はどこからどこへ流れていくのか。オーナーは収入の減少、費用の増大のリスクをどこまで洗い出せるか。(金額の特定が難しければ、保守的に見積もっておくべきです。)

そして事態が悪化した場合は、どう手仕舞いするか。これらのことをできるだけ定量的に捉えておくことが必要です。

「そのようなこと、あたりまえだろう。」と言う貴方。貴方は正しい。でも今回、かぼちゃの馬車を買った700人のオーナーもまた貴方と同じセリフを言っていたかもしれません。

2~3年経って、かぼちゃの馬車の話が風化した頃に、また同じような不動産投資の話がでてきて、貴方がそれに引っかからないことをお祈り致します。

そのためにも、このかぼちゃの馬車の事例を、ご自身の不動産投資のマニュアルにクリッピングしておくことをお勧めします。

(あとがきにかえて)

おとぎ話を連想させる「かぼちゃの馬車」。なんとも甘いネーミングです。しかしそれはスルガ銀行という魔法使いが仕立てた、時間が経てば消えてしまう空虚な投資ビークルでした。

誠実で正直な者は、おとぎ話の世界では幸せになれるのかもしれませんが、現実の世界ではカモにされるかもしれないので、大いに注意が必要であります。

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